卒業制作優秀作品集2023
統合デザイン学科

川村 結実

光の彩り

映像(47秒/49秒/41秒)
技法・素材:素材=RC印画紙、OHPシート、感光機、写真用紙/技法=ルーメンプリント、アニメーション

作品説明

この作品は、印画紙という光に反応する特別な紙を使用した映像作品です。透明なシートにネガを印刷し、そのネガフィルムを印画紙に重ねて光を当て、浮かび上がった像をスキャンし、一枚一枚つなげて映像にしています。
故意に決めた色ではない印画紙ならではの光による幻想的な彩りは、一瞬一瞬、表情を変え、日常を切り取った映像の中に真新しさやずっと見ていたくなるような美しさをもたらしているのではないでしょうか。

協賛 サイバーグラフィックス株式会社

作者によるコメント

印画紙は少しの光で色が刻々と変わり続ける繊細なモチーフです。そのため、制作の大半の時間は暗室での作業で、一枚一枚、理想の色になるように、光に当てては、スキャンする、足りなければもう少し光を当てる、スキャンする、そんな試行錯誤の繰り返しでした。
時間を刻むように淡く色が変容していく印画紙を見つめた時、時の流れを強く意識させられる感覚がありました。私はこの美しい体験をヒントに、映像を制作しました。

担当教員によるコメント

光の色。印画紙の色の変化。自然の色。映像。8ミリやポラロイドフィルムがもつ儚い映像。
薄れる記憶。懐かしい思い出。光の記録。タイムスリップでタイムレス。儚いものが放つ強さがある。
分厚い本がパラパラとめくれる様子。線香花火。髪の毛が風になびく様子。風でゆれる木漏れ日。手をふる逆光の親子。
もしかすると人々が共通でもっているであろう記憶をデザインしているのかもしれない。
透明なシートに動画一コマ一コマのネガをプリントし、それを印画紙に重ねて感光させる。
それをスキャンして再び映像に戻すことで出る微妙な階調のズレが儚く美しい。決してスムースではない。
色彩は曖昧で微妙で、口では言い表せないものだ。
川村のようなデジタルネイティブは逆にこういうアナログなものに惹かれるようだ。
意図された色やコトではなく、計算できない偶然性に視点をむけたプロジェクトだ。
偶然性を大きくアートディレクションに取り入れていることが高く評価された。
これまで川村はにこやかに、丁寧なデザインをしてきた。
卒業しても、決して固く考えず、手を動かしながら楽しんでデザインしてください。
右脳と左脳をいったりきたりしながら自由で軽やかに。
INTEGRATED AWARD TOP20、おめでとう。

教授・佐野 研二郎、非常勤講師・小杉 幸一、非常勤講師・榮 良太

  • prev
  • next
  • 阿部 菜々美
  • 鵜飼 東吉
  • 光本 おとは
  • 江口 菜々美
  • 深尾 昇平
  • 谷口 えいみ
  • 茶薗 優花
  • 中島 愉快
  • 猪口 朱音
  • 髙木 しの
  • 久保川 亮
  • 古関 真子
  • 森井 奏音
  • 杉本 希
  • 石川 明日香
  • 臼井 結那
  • 猿渡 啓太
  • 小林 優季
  • 金子 祐子
  • 川村 結実

学科TOPへ