卒業制作優秀作品集2023
統合デザイン学科
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裏側
スペキュラティブデザイン
技法・素材:素材=ラベルシール、紙、シュリンクラベル、パッケージフィルム、木材(展示台)、ペンキ(展示台)/参照=第5回改訂 厚生労働省編職業分類 職業分類表、各企業の組織データ
サイズ:ワークデスク=H550×W1200×D720mm/ポテトチップス=H240×W178×D55mm/水=H205×W60×D60mm/箱ティッシュ=H130×W300×D60mm/ボールペン=H141×W17×D11mm(3点)
作者によるコメント
ー製品の裏側に隠された人々の役割を、明示することが義務化されたら。
私が卒業制作で向き合ったこのテーマは、広く捉えると「社会の透明性を高め、全ての人が互いにリスペクトし、自らの手で挑戦機会を掴み取れる環境をつくること」でした。
性善説で理想論かもしれませんが、私は社会にそうあってほしいし、そんな社会を創っていきたいと思っています。
同じ思いを抱き、それを感想として残してくださった皆さまと繋がりあえたことが、卒業制作での一番の喜びでした。本当にありがとうございます。
これからの自分へ。これからもこのテーマに向き合って生きてください。おつかれさまでした。
※この作品は「第4回改訂 厚生労働省編職業分類 職業分類表」に掲載されている全17,209の職種データと各企業が公表している組織データをもとに制作されています。
担当教員によるコメント
「デザイナーは社会的な問いを持たなければならない」という話はよく言われるが、「社会的である」とは本当はどのようなことなのだろうか。「社会」という言葉に対して、何か自分の日々の生活や活動とは切り離された、抽象的で公共的で高尚な何かというように見てはいないだろうか。私たちはもっと地に足を着けた、日々の生活の集積やその中にある気づきから生まれてくる問いこそ社会そのものに向き合っているものなのだと認識を改める必要がある。そうでなければ、私たちデザイナーは社会から乖離していってしまう。
臼井が卒業制作で取り組んだ試みは、さまざまな物事は多くの人々の日々の活動によって出来上がっている物であり、自分自身も現在(もしくは将来)、その一部を担い合っているということを実感し、社会と関わるということを自分と切り離すことなく連続性のあるものとして捉えられるものとなっている。そう考えると、この作品はこれから未来を担う若者のためのものとされていたが、今この社会に生きるすべての人にとって、自分や周囲の人の仕事に対して想いを新たにし、他者の(これまで見えてこなかった)仕事に対して確かな敬意を払うために必要な、意義のある提案なのだと思う。
准教授・菅 俊一
作品説明
社会に出ていない青年たちは、未来の自分を想像することを強いられながら、「夢」や「やりたいこと」のために最適な道を選び続けることを求められる。 その一方でこの社会は、人々がどう協力し役割を果たしあっているのかを、ほとんど教えない。人間は、「全く知らないこと」を想像するのは難しいのにも関わらず。
それでは、青年たちが想像できている世界は、どれだけ社会の実態に近しいのだろうか?
この作品は、“製品に関わる人々の役割を示すことが義務化された世界”という設定の下、その表示義務化によって情報格差にどのような変化が起こるかを探るためのものである。