卒業制作優秀作品集2023
統合デザイン学科
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- 小林 優季
Objects of X-section
3D printing
技法・素材:素材=PLA、MDF/技法=3D printing
サイズ:H113×W126×D129mm(2点)、H140×W199×D195mm(2点)、H35×W30×D31mm(2点)/(全50点)
作者によるコメント
野菜や果物などの自然物は無数の断面の重なりから成り立つ立体物であり、断面はひとつとして同じものはありません。その中から一つの断面だけを抽出し、再度同じ比率、大きさの立体として復元します。 復元された立体物は元の自然物の特徴を持っているにも関わらず、元とは大きく異なる仕上がりです。さらに、異なる2つの方向から断面を抽出することによっても最終的な復元は大きく変わります。 我々はその粗放な復元を見た時に初めて、自然物は異なる断面の積み重なりで成り立つことに気が付くのです。
担当教員によるコメント
新しい技術の登場は、常に新しいものの見方を手に入れることにつながる。小林の探求は、3DプリンタのFDM(熱溶解積層方式)という積層しながら造形していく方式を手がかりに、様々な事物は断面の集合体によって構成可能であるという世界観を提示した上で、抽出した特定の断面のみを繰り返し積み重ねることによって、物体の再構成をおこなっている。
つまり本作で小林が試みたのは、敢えて極端なパラメータを設定し実行してみることによって新しい視点を獲得するということであり、技術とアイデアによってデータ上だけで加工・編集を行うのではなく、具体を持って野菜や果物のような自然物に対してパラメータを極端に可変した姿を示すことで、私たちの想像力自体が確かに拡張されていることが実感できるものになっている。
変革の時代を生きる私たちが新たな想像力を手に入れていくためには、どう新たな問いを設定できるかにかかっている。本来適用できないパラメータを変更していく小林のチャレンジは、先入観に囚われている我々に対して、新たな問いを獲得するためのヒントを与えてくれている。
准教授・菅 俊一
作品説明
野菜・果物は切れば断面が現れます。
断面は立体物から獲得できる二次元のデータです。
このデータをもとに再度三次元に引き伸ばすことで粗放な野菜・果実の復元がなされます。
切り出す断面の向きによって最終的な復元は大きく変化します。
三次元から二次元、そしてまた三次元に戻す造形に対する新しい取り組みです。