私が女性を撮るとき、そこにある優美さだけではなく官能的な美しさに強く惹かれることがあります。
常に移り変わり己の思う形で留まらせることが叶わないものは、私にとって愛おしいものでもあります。それが失われてしまう前に時間を閉じ込めたいと願い、シャッターを押しました。

城石真菜美　Sweet Opheliaによせて
鉄橋の脇を歩く女性の後ろ姿を写した写真を最初に見た時不思議な既視感を覚えた。サビ色の鉄橋のせいなのか、それとも女性の着たワンピースの柄と白いハイヒールのせいなのか。もう一枚、これも女性の後ろ姿を捉えた写真で、豊かな黒髪が柔らかなブラウスの肩にかかる印象的な写真だった。
2枚の写真に共通して感じていたのは不思議な既視感とぼんやり感じていた官能性だった。
そのようにおぼろげに感じていた城石真菜美の官能性、決定的だったのはその後にポラロイドで撮られた数枚の艶めかしい唇を切り撮った写真だった。臨場感と怪しい官能がそこには在った。
先に撮られた女性の後ろ姿の写真2枚と後の数枚の唇の写真を並べて見た時、城石真菜美の次の写真を思わずにはいられなかった。

教授・上田 義彦