断捨離をしてるはずなのにヘンなカワイイ雑貨を買ってしまったり、どう考えても自分には不向きなアルバイトを始めてしまったりする。しかし人間とはそういう矛盾した存在である。やろうとした事と実際にやっている事がどんどん離れていってしまおうと、考えが変わってしまおうと、いいのである。 初英佳の絵には、そのような頼りない行き当たりばったり感と、そんなことはどうでもいいというような大雑把な力強さがせめぎあっている。そしてそれが初の作品に大きな魅力を与えており、堂々と正面から絵画に向き合った証しであるその筆致は観る者に多くを語りかける。今はまだどこなのかわからないその旅の行き先であるが、初はとても勢いよくそこに向かっているのだ。

教授・吉澤 美香