卒業制作優秀作品集2023
絵画学科日本画専攻
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- 鶴田 慧
秋陰粧う
素材・技法:岩絵具、水干絵具、高知麻紙
サイズ:H1940×W2590mm
担当教員によるコメント
画面全体を覆い隠すように、ゴツゴツした岩肌が埋め尽くし、真正面から対象を捉えた力強い構図。観る者はまずその迫力に圧倒される。筆圧を感じさせる絵具の層が心地よく、スケール感に対する作者の想いは、制作中も途切れる事はない。一方、岩肌の表情を細部まで見極める視点も、忘れてはいない。このこだわりが鶴田の絵作りの特徴であり、彼が一貫して、絵画表現で求めて来たリアリティーに他ならない。入学以来コンスタントに、誰よりも率先して課題に取り組む真面目な制作態度からも判るように、「妥協することなく」全力で描き切るのが鶴田の強みでもある。そのうえで、あえて一息つく「間」を意識してみてはどうか。力むばかりではストロークも固くなる。ここから更に高く飛ぶ為に、肩の力を抜くことを忘れないで欲しい。
教授・武田 州左
作者によるコメント
私が山中に立っている時、我々の手ではコントロールすることができない強大な動きに対する畏怖と敬意、人々が古くからそこに見出してきた神性を強く感じる。隆起した岩肌や鬱蒼と茂る木々が作り出す時の流れは悠久を象徴するほど穏やかで、同時に迫り来るような激しい力のうねりであった。