卒業制作優秀作品集2023
絵画学科日本画専攻
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- 岩井 柚樹
The personal
素材・技法:岩絵具、麻紙
サイズ:H1620×W3909mm
担当教員によるコメント
記憶が明滅するように日常の些細な出来事が独特な距離感を持って描かれている。断片の積み重なりがそのまま何か物語的になることはなく淡々と事実が報告されているような作品である。
岩井さんの作品からはスクリーン映像のように確かなのにどこか遠いような不思議な感覚を覚えます。社会的な自分と本当の自分の間に起こる違和感。『カミングアウトがもたらす眼差しの変化の再体験を目的に描いた』というこの作品はこの社会で普通であるということはどういう事かという投げかけが通奏低音となっているように思います。繊細であるが揺るぎのない力強さを作品に宿す岩井さんがこの先どのような作品を作っていくのか大いに期待するところです。
教授・加藤 良造
作者によるコメント
この絵は、断片的な日常の寄せ集めです。
友人と浜辺で花火をした夜。つい頼みすぎてしまった料理が並べられたテーブル。恋人が私に向けてシャッターを切った瞬間。妹が置いたカバンに差し込んだ木漏れ日。
他の誰かにとっては、何てことのない日々です。
クィアを自覚して10年以上、そんなふうに、何てことのない日々を生きてきました。
この絵は、ひとりのクィアの、断片的な日常の寄せ集めです。
私がクィアだと知って改めて絵を見たとき、何か印象は変わるでしょうか。変わったとしたら、その理由は何でしょうか。
この絵も、私も、クィアだと伝える前から何も変わっていません。
この作品は、カミングアウトがもたらす眼差しの変化の再体験を目的に制作しました。