岡 千尋
縹渺
素材・技法:岩絵具、水干絵具、箔、和紙 サイズ:H2590×W1940mm
作者によるコメント
夢で作りだす精神世界と、現実世界の境界を描くことを目的に制作活動を行ってきた。それは絵を描くことを逃避の手段として捉えているからであり、夢の中でいつも見るような曖昧な情景を現実と混ざり合った半抽象的な表現で描くことで他者に夢を共有することが可能になると考えているからだ。目に見えない居場所を人は精神の中に生み出しているように思う。他者にその存在を伝え認識されることでその居場所は確固たるものになり、その他者も自分の居場所を認識する。リアリティと幻想を交えて描くことで精神世界への扉を現実世界に見出すことが私の絵画を描く目的である。 卒業制作では、様々な色が混ざり合った夢の中に眠りに落ちていく様子を描いた。現実はすぐ側にあるけれど夢の中では自由な羽が生えてどこまでも浮遊していけるような感覚を描き起こした作品となった。
担当教員によるコメント
この絵の魅力はなんと言っても嫋々たる黒いドレスの存在感である。 抽象的な背景に浮遊する女性は瞼を閉じ、身に纏うドレスの裾がひらひらとなびくのを見た時、まるで夢の世界へと誘われているかのような錯覚に陥る。平面であるはずの絵画は手前と奥・上と下と空間が生まれ、視覚への快い刺激が外界をも取り込んでしまう。描き続ければ技術は向上していくだろうが、絵画の中を自由に泳いだ感覚は鈍くなっていくものだからこそ、描き手の思惑は常に研ぎ澄ませることを忘れないでいてほしい。
准教授・千々岩 修
作者によるコメント
夢で作りだす精神世界と、現実世界の境界を描くことを目的に制作活動を行ってきた。それは絵を描くことを逃避の手段として捉えているからであり、夢の中でいつも見るような曖昧な情景を現実と混ざり合った半抽象的な表現で描くことで他者に夢を共有することが可能になると考えているからだ。目に見えない居場所を人は精神の中に生み出しているように思う。他者にその存在を伝え認識されることでその居場所は確固たるものになり、その他者も自分の居場所を認識する。リアリティと幻想を交えて描くことで精神世界への扉を現実世界に見出すことが私の絵画を描く目的である。
卒業制作では、様々な色が混ざり合った夢の中に眠りに落ちていく様子を描いた。現実はすぐ側にあるけれど夢の中では自由な羽が生えてどこまでも浮遊していけるような感覚を描き起こした作品となった。