卒業制作優秀作品集2021
情報デザイン学科

藤賀 日陽子

親密さのための会話法の研究

立体
技法・素材:木材、紙、写真、ポストカード、糸、鏡、アクリル、小物、ニス、デコパージュ、Adobe Ilustrator
サイズ:H2500×W4000×D4200mm

私にとって親密な会話とは、表層的な会話ではなくその人の深部に触れたと感じる会話です。 発話されるはずのなかった言葉が生まれる瞬間、その場その瞬間にしか表出しない何かを捉えたいと考えました。そのような会話の補助となるプロトタイプを5点制作し、ひとつのキットにまとめました。日々の思考は一直線ではなく幅があるため、一つに絞らずに制作しました。散文的なこの作品から、それぞれの受け取り方で親密さについて考えていただけたらと思います。

1|一片のポートレート 無意識から出るもの
〈単語カード72種類・ポストカード・オブジェクト〉が入った箱。感覚的に並べたものを見ながら人と会話することで自己・他者理解できるかという試み。

2|灯台からの眺め どこかのストーリー
持ち運び可能なトランクの中に家や塔のような物が入っており、イメージを共有しながら少し話しづらいことを話すためのツール。

3|船の上の喫茶室 架空ラジオ
ラジオの形式で、時間制限・話す内容をあらかじめ決めてから話すもの。音声録音しアーカイブにも。

4|確率の会話 すごろくスカーフ
旅行中や出先のふとした空き時間に手軽に遊べるスカーフ。

5|さんぽスコープ
さんぽをしながら相手と風景を共有して同じものを見つめ楽しむためのスコープ。

担当教員によるコメント

よく知るもの同士がさらにわかり合えるための「対話」のきっかけとなるツールを複数考案し、提示した作品である。しかし、それらひとつひとつを深く掘り下げることはせず、ツールとその体験の提示をもって作品としている。この作品には「よく知っていると思っていてもわかり合えていない」という前提がある。普通に考えれば、その先にあるのは虚無に過ぎないのだが、この作品のツール群によってある種の希望が垣間見えるのだ。わかり合うための解決に向かうのではなく、わかり合えていないことへのあっけらかんとした肯定がこの作品の一番の魅力である。デュシャンやフルクサスの影響下にあるであろうツールボックスに、それがよく現われている。

教授・永原 康史

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