垂直に屹立する巨大な2点の対作品、〈Before the night〉(夜の前)と〈 After the light〉(光の後)は、山縣君によれば、「2つの絵画の中で普遍的な世界が回る。」という事を念頭に描き、人々の日常生活をポジティブかつ豊かにとらえ返す事を目的としている。2枚とも抽象的でありながら、不思議な生物めいたものや民族楽器のような形象が自由に浮遊し、観る者を壮大な感覚の中に溶け込ませる。楽器の形象は、彼自身が音楽の演奏者であることと関連し、音楽そのもののリズム感や鼓動が、これらの抽象絵画の力強い構成的モチーフとなっている。2点は黄と青緑の色彩的な対比を効果的に発揮して、音楽を通じた山縣君の、ある種の理想的な世界を開陳していると言えるだろう。抽象絵画と音楽の関係は歴史的に多くの例があるが、彼の場合、演奏者ならではの深い感情的な厚みと高揚感が伝わる非常に優れた対作品となっている。100号サイズの〈Life and beauty〉もユニークな作品で、生物と楽器が合体したような形象が浮遊する。彼によれば「生と死」という普遍性に「美」の観点を加えたもので、こちらも抽象絵画のひとつの可能性を示していると言えよう。
担当教員によるコメント
垂直に屹立する巨大な2点の対作品、〈Before the night〉(夜の前)と〈 After the light〉(光の後)は、山縣君によれば、「2つの絵画の中で普遍的な世界が回る。」という事を念頭に描き、人々の日常生活をポジティブかつ豊かにとらえ返す事を目的としている。2枚とも抽象的でありながら、不思議な生物めいたものや民族楽器のような形象が自由に浮遊し、観る者を壮大な感覚の中に溶け込ませる。楽器の形象は、彼自身が音楽の演奏者であることと関連し、音楽そのもののリズム感や鼓動が、これらの抽象絵画の力強い構成的モチーフとなっている。2点は黄と青緑の色彩的な対比を効果的に発揮して、音楽を通じた山縣君の、ある種の理想的な世界を開陳していると言えるだろう。抽象絵画と音楽の関係は歴史的に多くの例があるが、彼の場合、演奏者ならではの深い感情的な厚みと高揚感が伝わる非常に優れた対作品となっている。100号サイズの〈Life and beauty〉もユニークな作品で、生物と楽器が合体したような形象が浮遊する。彼によれば「生と死」という普遍性に「美」の観点を加えたもので、こちらも抽象絵画のひとつの可能性を示していると言えよう。
教授・中村 一美