卒業制作優秀作品集2017
情報デザイン学科
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- 佐藤 史祟
思想家であるヴァルター・ベンヤミンは1936年に『複製技術時代の芸術作品』という論考において「複製技術時代の芸術作品に滅びゆくものは、作品のアウラである」と指摘しました。しかし現在では枠組みは複製作品、生成作品と広がってきています。「アウラ」を形成する一つの要因である「唯一性」が人間にとって非常に密接な事柄であり、またそれには「絶対」「相対」の概念が重要であるという仮説をもとに制作をしています。
担当教員によるコメント
ヴァルター・ベンヤミンが、写真など「複製技術時代の芸術」における「アウラ」の凋落について問いかけてから80年が過ぎた。その時間のなかで、複製物も複製物としてのアウラを獲得したことに異論を持つ人は少ないだろう。では、現代の「コンピュータによってアルゴリズミックに自動生成される作品」はアウラを持ちうるのだろうか。佐藤はこの問いかけを丁寧に繰り返し、考察のための装置をいくつも制作した。最終的に発表したのは、同じ動作を繰り返しながらもすべての破れ目が違う「紙を破る装置」、大量生産物の個体差を明らかにする「マイクロSDカードの有効メモリー量を表示する装置」、本物と複製の区別がつかなくなる「木の葉をモノクロ映像に変換する装置」の三種であるが、ここにたどり着くまでのたくさんの習作とそれによる思考をこそ評価したい。
教授・永原 康史