「Life」と題された小宇宙は、青白く輝くガラス玉が連続し無限空間を思わせる。実像としてのガラス玉は、鏡面に映る虚像との反復繰り返しの中で、その境界の不確かさを提示する。伊澤の光への興味は、在学中の早い時期からあったのを覚えている。平面作品の中に光輝く素材を忍び込ませたり、光源を組み合わせたり、ライティングを工夫した作品もあった。現在のような空間に広がりを持つようになったのは３年になってからと記憶しているが、常に実験精神が旺盛で毎回新たな挑戦をしかけ、限定された大きさや形式に満足することなく新たな表現に立ち向かってきた。光と影は、伊澤作品のベースになっていて生と死を暗示させる。光輝く幻想の世界は、生命の神秘と安らかな癒しを与えてくれる。

教授・木嶋 正吾