卒業制作優秀作品集2015
絵画学科版画専攻
- TOP >
- 卒業制作優秀作品集2015 >
- 絵画学科版画専攻 >
- 有可 圭佑
flat −夢想−
技法・素材:メゾチント
寸法:H60×W45cm
本作「flat−夢想−」は画集の一点から始まる、他の二点の連作として制作した。「flat」シリーズとして制作したこの連作は、根底に人間の思考の内にあり静かに流動する無意識の存在を表現したものだった。人物を肖像として、観覧者と対峙させることにより、あたかも自分の分身をこの四角頭の人物に重ねられるようにと思い制作した。現状の自身の内に秘めてきた感情や思いが溶け出し、波となり、静寂と共に流れゆく様を描き表した。その中でふとした拍子に浮上した感情は肖像にその思いを反映させ、形を成す。「flat−夢想−」は水面上に流れる様々な、不特定多数の人々の思いが月として現れ、メインにある四角の連なる箱家に浮上する。この作品は多くの人々の思いがフラットに並列し、一つの集合体として現れたものの肖像なのだ。
担当教員によるコメント
メゾチントの作り出す黒にビロードのような深みがある。有可の作品は現状の自身の内に秘めてきた感情や思いが溶け出し、波となり、静寂と共に流れゆく様を描き表した。この思いがメゾチントの黒い空間となり、四角に連なる箱家を浮上させている。
教授・渡辺 達正