部屋のような空間の中央に、テーブルと電気スタンドが置かれている。周囲の壁には合わせて11枚の窓があり、この窓を通じて風景のような、記憶のような映像が見える。窓の向こうから聞こえる音やテーブルの上のスタンドの光も、映像と連動している。この作品は時間のカットアップや、空間の並置（マルチスクリーン）といったさまざまな手法を複合的に組み合わせることで、作者の記憶という時間を、部屋（内部）と風景（外部）という空間と結びつける。映像、クラフト、そしてデバイスとプログラミングのすべての要素が含まれた、メディア芸術コースの理念を体現したかのような作品である。

教授・久保田 晃弘