「変化が欲しい、私の絵の中の、今にもどこかに飛んで行きそうな少女はそんな気持ちを表している」「現代は良くも悪くも変化がない時代」とも言う。作者の心を縛っているのは何なのか…。その閉塞感が何に由来するのか…。「何かを求める」「自由へ…」という意識が独特の色彩感覚と劇画世代ともいうべき現代の感性で表現されている。作者の中に内在する閉塞感を作品から感じ取る事は出来ない。色彩の階調は美しく、フォルムも生き生きと躍動して“自由を求める”息苦しさより“希望に向かう”期待をすら感じさせて楽しい。作者は背景の“青”にこだわりっているが、その青こそが希望そのものであるように思える。一見、型染めを思わせる画面であるが、それも道理、色版はいくつかのパーツに分け塗り分けで摺り上げられている。

教授・小林 敬生