多摩美術大学|卒業制作優秀作品集|絵画学科版画専攻|オン ジャーチ

卒業制作優秀作品集2023
絵画学科版画専攻

オン ジャーチ

年輪

技法・素材:パネルと木にシルクスクリーン
サイズ:可変

作者によるコメント

自身の作品は、シルクスクリーンを通して、インクの層を重ねることによりうまれる時間の体積について表現することです。ここに展示されている作品は年輪シリーズ中の第一部分と第二部分になります。まず、第一部分のパネル状になっているものは、自分の成長の経過をインクの積層により表現したもので、大きく4つの色調に分かれています。この色調は自身の成長過程の時期を主観により表現したものです。次に、第二部分である切り株の形をしている作品は、同じく自身の成長を表現したものですが、この作品は、木が長い時間掛けて成長する過程に自身の成長を重ね合わせて表現しています。本来、木の年輪は時間と共に横に広がっていきますが、時間の積層を表現するために、本作品では、インクを重ね合わせ表現しました。インクを重ねることでうまれる偶然性を受け入れつつ、インクを重ねていく行為は、自身の日々の生活の中で、偶発的におこるアクシデントなどとも重なり、自身の時間を形にして見るという行為にもなっています。

担当教員によるコメント

作者はシルクスクリーン技法を使い、来る日も来る日も、薄いインクの層を刷り重ねてきた。薄い皮膜は、その日の、その瞬間のわずかな力加減や気温で少しずつ変化し、決して同じような層として積み重なることはない。何百回と繰り返し積層されたインクは、制作を通じた彼女の時間や想いを含みながら変化し、物質としての塊に変化する。塊となったインクは、その支持体の形状により、時に年輪に、あるいは地層にみえる。この色彩の層は、鑑賞者の心の鏡となり見る側のイメージを断定させない面白さがある。この作品は、作者の「時間の堆積」への興味を、版の使い方を工夫することで美しい立体作品として結実させた独創的な作品となっている。

准教授・大矢 雅章

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