卒業制作優秀作品集2023
統合デザイン学科
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- 猪口 朱音
blueprint
サイアノタイプ
技法・素材:フェリシアン化カリウム、くえん酸鉄アンモニウム、水、布、紙(本)、木材(展示台)、ペンキ(展示台)
サイズ:壁面の作品=H2200×W6500mm/展示台=H780×W1100×D700mm/本=H185×W220mm
作者によるコメント
紫外線に反応すると青く変色する薬品を布に塗り、透明なものの影を写しとった作品です。感光紙自体を暗室の中で一枚一枚制作するところから自分の手で行いました。最終的なかたちになるまで100枚以上もひたすら感光紙の制作、感光、現像を繰り返しながら、影の落ち方や青と白のコントラストなど、自分の中で腑に落ちる姿を模索しました。私が感じている、それぞれのモチーフが持つそのものらしさや魅力を写しとれたと感じています。
担当教員によるコメント
感光液に浸した布に透明な物を置き太陽光に当てると透過した光と影が反転して定着する。猪口はそれまでシルエットだと思っていた影の中に現れる立体感や質感に驚き、喜び、手当たり次第に身の回りの透明な物の拓を採取した。作品に対峙し、実際に私たちが見ているものは太陽光の光線の角度に投影された歪んだ影のかたちとその濃淡が反転した平面の像であるが、思考は元あるかたちの立体をなぞっている。この作品は平面と立体の両方に跨った作品である。着想から具体化に至るまでの愚直なまでの作業量がこの作品の力強さを支えている。
教授・深澤 直人、教授・長崎 綱雄
作品説明
感光紙の上に透明なものを置いて光に当てると、その光を透過した部分が形となって浮かび上がった。感光紙に写し出された光と影の形である。 素材の透過率によって見えてくる奥行き、光の濃淡が露にするモチーフの形。シルエットだと思っていた影が立体感や質感を持つことに私は驚きを感じた。 この作品群は身近なものの中から見出した、新しい魅力や発見の集積である。