卒業制作優秀作品集2023
統合デザイン学科
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- 森井 奏音
流墨
絵画
技法・素材:素材=青墨、紙、キャンバス/技法=枝垂れ墨
サイズ:H1030×728mm(2点)/H803×W1167mm(2点)/H515×W364mm(3点)
作者によるコメント
震災の時、津波には恐怖しか感じませんでした。最新技術では水圧は鉄をも切る力があるそうです。それならば、身近な水は何を造るのだろう。この作品を制作するにあたり、私の頭の中ではそのようなことが考えられていました。 たくさんの人の心に残る作品になっていれば幸いです。
担当教員によるコメント
最初のアイデアは、砂糖でつくった文字を蟻が群がり、新しいタイポグラフィーを生み出すというものであった。数ヶ月スタディしたが、作品に昇華するまでには至らなかった。突き詰めると、いかに人間の恣意的なコントロールの呪縛から逃れて自然の要素を織り込み表現を生み出すかというのがテーマであった。そこから作品の方向性を大胆に転換する。水張りしたパネルに墨を垂らして線を描くという作品である。勾配による、重力と水の張力という自然の物理法則を表現に内包するというアイデアだ。墨、紙を検討し、構造を進化させ、技を修練し、スタディを重ねていくことで、驚くほど魅力的な線が生まれた。卒制のクロスレビュー時に、評価とは別に何人かの先生から作品が欲しいと言われたことは、これからの大きな自信になるだろう。
教授・永井 一史、非常勤講師・岡室 健
作品説明
水の流れと盤面の傾きによって生まれる軌跡で描かれている新しい表現の可能性を拓く作品を目指し、制作しました。
水と相性の良い墨を用い、水の繊細さと自由さを人為的な盤面の動きで変化させ、水の流れる軌跡を可視化しました。
人の力では制御しきれない自然と「盤面を傾ける」という人の作り出す動きがかけ合わさることで生まれる新しい表現をお楽しみください。