卒業制作優秀作品集2023
統合デザイン学科
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- 久保川 亮
drawing with a hair
彫刻
技法・素材:素材=髪の毛、ケント紙、アクリル箱、木材(展示台)、ペンキ(展示台)/技法=彫刻
サイズ:H30×W275×D380mm
作者によるコメント
この作品は髪の毛で描いた人物画です。制作において最も苦労した点は、作品を管理することでした。この作品は固定していない為、少しの振動や風や静電気で崩れてしまいます。制作や運び出しには特に気を遣いました。髪の毛を固定しないことで、髪の毛の繊細さや儚さを上手く表現できたと思います。
担当教員によるコメント
プロジェクト全体を通して、久保川さんなりの考察と視点を、常に大事にしながら取り組んできた結果が、この卒業制作にも大きく生かされることになった。 髪の毛を人から生まれた分子、分身と捉え、それによって肖像を描く試みは、鉛筆で描くその線よりもその人らしく感じられた。 また、切り取られた人間の一部が、再度その人の肖像となって蘇えるという循環が、何か儚い陰影を浮かび上がらせ、見る人に強いインパクトを与えることになった。 髪の毛の素材感に最初は四苦八苦していたものの、「描写する」という基礎的で本質な行為の繰り返しは、 描くとは何か?を、あらためて自らが捉え直すきっかけを作り、見る側に新しい視点をもたらす素晴らしい作品になった。
教授・永井 一史、非常勤講師・岡室 健
作品説明
髪の毛は、生理的に私たち自身から生み出されるものであり、ヘアスタイルは私たちのアイデンティティを構成する要素のひとつだと考える。
私は、髪の毛のそのような側面に関心を持ち、着想を得た。
この作品では、髪の毛の一本一本を筆のストロークのように捉えて、ヘアスタイルの異なるそれぞれ被写体を、それぞれの髪の毛で描いている。
被写体によって全く異なる、髪の毛の色や、形や、質感を、魅力や価値として表現に落とし込んだ。
髪の毛で描くことでしか生まれない表現が、生々しくその被写体を浮かび上がらせる。