卒業制作優秀作品集2022
グラフィックデザイン学科
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- 上嶋 水月
造本形態の生む新たな知覚効果を実験的に追求し、本の構造的な解釈をより自由なものへと拡張することを目的に造本設計を行なった。それぞれの本がページを開く行為からその動作に応じたイメージを想起できるよう設計を施している。これらが生み出す本の新しい知覚効果を手に取って感じていただければ幸いである。併せて、それらの作品を公に発表できる場をデザインした。コンセプトは展示、販売、出版と三つの役割を兼ね備えた複合型の施設である。外観は本をキーワードに、実際に本に触れながら検討を重ねた。内観は機能ごとに三階層に分け、動線を考慮した設計にしている。私の表現のパブリックな展開と作品を他者へと伝える場を設定し、機能するデザインとしての複合型施設を制作した。
担当教員によるコメント
上嶋水月の卒業制作は「造本形態から受け取る新たな知覚」をテーマに、幾何学を軸とした実験的な一冊のブックデザインからスタートした。このブックデザインは多様な展開を見せシリーズとなり、ひとつのレーベルへと発展する。
上嶋はこのレーベルにおけるブックデザインだけに留まらず、そこに「場」の必要性を感じ、展覧・販売する場,さらにはデザイン・印刷・製本する場をひとつの建造物のなかにパッケージングしている。
個々の書籍の完成度は言うまでも無いが、一冊の本の制作から始まったこの卒業制作はついには建造物となり、ひとつの輪の中で持続可能な制作サイクルを作り出した。この展開力とプロジェクトとしての完成度に賞賛をおくる。
准教授・加藤 勝也