卒業制作優秀作品集2021
生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻

安田 彩美

片手で化粧をするプロダクトの研究

技法・素材:素材=ABS樹脂、ナイロン毛、針金/技法=3Dプリント、塗装
作品形態:立体
サイズ:H145.8×W72×D14.1mm

この研究は「片手で化粧をする」ことで、切断・骨折などの理由から片手で生活をする人や、片麻痺の方に対して日常的に、あるいはリハビリをしていく中で化粧をすることができるという希望を生み出すようなプロダクトを目指した。無意識的に両手で扱うことが前提とされている化粧品を、「片手」という視点から見つめていくことは、私たちに対しても新しい体験や気づきを与えるものになる。
マスカラという化粧品に着目し、眼窩に支点をつくり深部知覚で立体・位置覚を感じ、空間把握をしやすくした提案である。支点があることで微細な動きを可能に。操作性・可動性もより高まり、スムーズな化粧が行える。誰もが扱えるという、これからの化粧品のスタンダードになるきっかけとなれば幸いである。

担当教員によるコメント

何らかの理由で片手のみでの生活を余儀なくされた時、諦めてしまう行為の一つに「化粧」がある。化粧品は両手で扱うことを前提としたデザインが多く、サイズも小さいうえに、実際に化粧をするにも指先を使った繊細な動きを伴うからだ。中でもマスカラをテーマに選んだのは、化粧を諦めないでという作者の思いと、デザイナーとしての挑戦ではないだろうか。専門家の知見を得ながら実験検証を繰り返し、深部知覚に着目して、あるべき形状を導き出したデザインはユニークで、片手で扱えるだけでなく鏡を見ずにつけることができる。身体の感覚を適切に際立たせるこのアプローチは、プロダクトと人との連携で生まれる新しい暮らしを予感させる。

教授・大橋 由三子

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