卒業制作優秀作品集2019
統合デザイン学科

岩井 稜

DEEP PLANE

グラフィックデザイン、広告デザイン、表現研究
技法・素材:ハリパネ、紙
サイズ:W728×H1030mm(1点)、W515×H728mm(1点)、W2060×H728mm(1点)、W728×H728mm(1点)、他

ポスターの多くは平面上で完結している。駅の中で見るのも街中で見るのも、中身の違いこそあれ同じ形式の中での変化でしかない。そこで私は「二枚の平面で表現する」という制限を設定し、そこに新しいポスターの見え方はないかという研究をすることにした。
アイデアは制限をかけられるからこそ枠組みを突破しようと画期的なものになるのだと思う。多くの人は「制限なく好きなものを作ってくれ」と言われると、逆に選択肢が多すぎて萎縮してしまう。挙句には常識の中だけで右往左往して終わってしまうかもしれない。だからこそ私は制限を設定した上で生まれる新しい表現を模索した。
結果的に私は今回の作品からある気づきを得られた。それは、楽しみ方のルール変更ができれば世に出る広告の常識は大きく変わるということ。これまでは、多くのポスターの評価基準は美しさや面白いアイデアが紙面上で表現されているかだった。それに比べてDEEP PLANEでは、二枚の平面から生まれる距離感や空間がどんな楽しさを生むかへと変化した。同じポスターという媒体でもこれだけ変わることに、これから先デザインを続けていく上での可能性を再確認することができた。

担当教員によるコメント

岩井がかねてから摸索してきたイラストレーションとデザインの境界線。卒制でもそこに可能性を見出そうとした。デザインは制限、制約の中でこそ本領を発揮するという岩井の着眼点。すべて「関係性」をテーマにした2枚のイラストレーションで構成する。ストーリー、時間、空間、アイデアが2枚の関係性によってよりユーモアや情緒をもって分かりやすくなる。特に太った男が泳いでいる影が願望のように水底におちる痩せた影の作品「DIET」は非常にわかりやすく、強い印象を残した。卒制会場で見てライティングや空間におけるレイアウトなど最後の(楽しい)格闘が目に見て取れた。この「関係性」をデジタル、アウトドアなど広がりつづけるメディア環境において、岩井が卒業後デザイナーとしてどう取り組み、結果をだしていくのか今から楽しみだ。

教授・佐野 研二郎

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