八木田は細い棒状のガラスを電気炉内で溶着し、それを波うたせるようにスランプして曲げることで、柔らかで繊細な表現を試みた。曲がる温度に達したガラスを曲げるには重力を利用するので、欲した曲げ方を得るには型を調整しながら何回も窯入れする必要があり、その技術的挑戦もこの作品をつくるための重要な要素であった。型や温度の設定を得るために相当の試行錯誤をしたであろう。棒状のガラスの中間には玉状の部分があり、きらきらと光を拾って、とてもガラスらしい表現といえる。実際には硬いガラスをどのようにしなやかに見せるか、ということを八木田は楽しみ、努力し、彼女らしい作品を成立させた。

教授・高橋 貞彦