株式会社茂木製作所との産学連携の作品である。金属加工技術の応用を前提に、従来の金属加工品イメージを逸脱した美しい作品となった。「山水景岩」という名のとおり、景観の中に配し愛でる事を目的にした美術品をデザインしたのである。光のない状態では、金属の塊として存在し、それは精製前の鉄鉱岩というメッセージであり、光を伴うとそこに計算された光る岩肌が現れる。また見る方向により表情が変わる。まさしくエモーショナルな演出効果であり、未来の素材ルーツの見せ方である。金属板裏面からのNC加工による厚み調節、またレーザー加工による微細孔での巧みな描写が、古代姿と先端加工技術の美しい"融合"となった。この作品は、スケールを変えることで公的場所での大型モニュメント等、今後の展開も期待させる。

教授・中田 希佳