これは動態のデザインについて、様々な角度からアプローチしてきた作品である。初期段階では塊としての美しいフォルムをクレイなどで表現していたが、デザインとして機能と深く関る「造形の意味性」に探求するにつれ、フォルムに対して何らかのコンセプト、デザインストーリーを構築する必然性がでてくる。作者はそれを日本的な「文字」に求め、ひらがなを立体的な造形として捉える事で美しい動態フォルムへと展開した。これは従来にはない斬新な試みであり、造形化するのは大変困難なプロセスが待っていた。最新のテクノロジーである3Dプリンターを駆使しなければ具現化は困難であっただろう。時代のテクノロジーを上手く使いこなす事もこれからのデザイナーに必要な資質である。

教授・田中 秀樹