卒業制作優秀作品集2022
絵画学科油画専攻

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AB

山下 源輝

A. vessel

素材・技法:泥、セメント、樹脂絵具
サイズ:H720×W440×D410mm

B. untitled

素材・技法:綿布、油彩、木炭
サイズ:H2800×W2060mm、H2800×W2060mm、H3000×W2250mm、H2800×W2060mm、H2800×W2060mm

息をすること、血管が脈打つこと、実に当たり前なことであり無常に繰り返され続けることだと思う。吐いた息が風を作り、脈は皮膚を通して空気を震わす。
私が手を伸ばして届く範囲は限られているが、手の届かない場所にも何かしらを起こしているような気がする。
だから私は画面を前に手を動かし線を引き、点を打ち、面を広げることを繰り返した。
繰り返してもどうしようもなくひとりよがりだが、確かに何かが生まれると信じている。
線を引いたとて新しい生命体が爆誕する訳でもなく、描いたものがひとりでに動き出す訳でもない。
しかし、私の痕跡を通して、私と画面が知っていることを取り込みながらそびえ立っていく。結局その画面は得体の知れないものになってしまうが、1から10まで何も知らないよりも一掴みでも知っていることがあれば諦めもつく、知らないからこそ“他”だと認められるのではないかと思った。

担当教員によるコメント

高さ3mのキャンバスを複数枚立てかけたアトリエの、あの濃密な空間は今も忘れられない。この空間から生みだされた山下君の卒制は、描こうとして描ける、作ろうとして作れる、表現とは真逆のもの。描くことはできない、作ることはできない、ことが、画面の向こうから、立体の周囲から、立ち現れてきたと強く感じた。あのタイトな空間、画面との距離、そこで起こる身体性、それらがただただ「描く」「作る」という反復の行為とともに、画面に残り、立体に残り、まさにその痕跡こそが山下君の表現となっていったのだ。これほどピュアに「描くこと」「作ること」に向きあえたのは、ここまで、迷いながらも、持続的に、自分と絵画の関係を問いつづけたからこそだと思う。これからも一層、自分自身の感覚に忠実に、山下君の絵画を、表現を、探し求めつづけてほしい。

教授・日高 理恵子

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