卒業制作優秀作品集2022
環境デザイン学科

王 家文

山社 yama no yashiro

建築模型、プレゼンボード
技法・素材:スチレンペーパー、角材、かすみ草、カラーケント紙
サイズ:H100×W610×D914mm、H300xW610×D914mm、H600xW610×D914mm

自然葬は遺灰を自然に還すことで、自然と繋いで回帰することだ。そこから着想を得て従来の故人に別れを告げる葬式ではなく、故人の存在を残す葬式を作る。

山の社という新しい葬祭システムを作り、全日本の山を舞台に、頂上に故人の遺灰と種を風にまき、大地に落とし、植物として成長すると、新たな生命に転換し、物理的に彼らの存在を保存する。春風は生気をもたらし、秋風は悲しみを連れて行く。どこに居ても山を見ると、彼らがまだそばにいるようだ。

風向が常に一定である榛名富士を敷地にして、一つの例を設計した。建築の造形にも風の流れに応じて、流線の要素を入れた。両側の梁を曲線にし、垂木は梁によって自然な曲面の屋根を形成した。建物をより柔らかくバリエーションも豊かに見せ、風の流れを誘導する。

林の疎密と建築の構造で光と影のグラデーションが生じ、雰囲気が変わり、偲ぶ人の気持ちに穏やかさが加わる。歩道に誘われた利用者は故人の思い入れのある植物を見つけることで想いを馳せ癒される。

担当教員によるコメント

人の死は常に身近にあるものであるが、意識の上では死を忌むものとして遠ざけているところがある。作者は、この問題に建築的解決方法がないかを考え、葬儀から埋葬迄を榛名山の雄大な自然の中で展開させ、骨を山に散骨し死の記憶や想い出を山と同化させることで、死者の記憶を自然と一体化することに成功している。自然と建築の融合した良い計画である、木造のきれいな架構を持った建築群も美しい。

教授・田淵 諭

  • prev
  • next
  • 馬場 健登
  • 福田 奈菜
  • 青木 美羽
  • 入山 聖
  • 王 家文
  • 小野 海
  • 蟹江 良至
  • 神内 隆伍
  • 川島 岬
  • 小見山 尚
  • 坂本 華代
  • 鈴木 あかり
  • 田中 嵐
  • ダントラン タオニー
  • 永井 大翔
  • 新山 さゆり
  • 秦 裕一朗
  • 堀之内 壮太
  • 村瀬 礼
  • 李 豪

学科TOPへ