卒業制作優秀作品集2021
絵画学科油画専攻

津田 みなみ

my room

素材・技法:木、軽金属、綿布、アクリル絵具
サイズ:H233×W233×D233cm

私は自分の居場所を探している。ふとした時、私は今、自分のいる場所(空間)に違和感があるように感じることがある。 その違和感の理由が知りたくて、絵画表現を中心とした作品制作を通して考察している。
私の大きな制作テーマは「在り処・居場所」だ。そして作品ひとつひとつに、仮説的な小テーマを設定している。この場所が本当のあるべき場所なのではないか?あるいはこの環境なのではないか?そういった疑問や考えからいくつも仮説を作り、作品それぞれの小さなテーマとしている。身体と、それをとりまく周りの環境の関係性を考察し、ひとつの仮説を立てていく。そしてそれを作品としてカタチにして表現するというプロセスを繰り返し行う。己の中の感覚を表現した作品を通して人と語ったり語られたりする事で「居場所」 というものの輪郭を捜しているのである。
2020年は「自分の部屋」というモチーフを表現することで、居場所というものについて考察した。自分のみの方程式で構成された「自分の部屋」という空間は、それは違和感の対象ではなく、自分の肉体の1番外側と言えるのではないかと私は考えるのだ。

担当教員によるコメント

津田の卒業制作は一辺が250cmほどある立方体の作品だ。無機質なアルミで囲われた作品の内部は、自分の部屋を模したという真っ赤な絵画空間だ。外側の無機質に対して中は有機的で情緒的な世界だ。なぜこんな内と外が対照的な空間を作ったのだろうか。津田は近代的な建築に違和感を覚えるという。そういえば何万年もの人間の歴史の中で、四角いコンクリートの建築は歴史が浅い。効率と合理性に支配された建築は、実はすみかや巣といった生物的な住まいとかけ離れている。コロナでの巣ごもりが叫ばれる現下、津田の作品は人の安らぐ空間を考えさせるが、私にはこの興味深い空間が少々居心地悪い。この赤い部屋がささくれて血がにじんだ心情のように思えてくるのだ。この部屋は矛盾の中に暮らす現代人を象徴的に表しているように思う。

教授・菊地 武彦

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