卒業制作優秀作品集2020
統合デザイン学科
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- 岡本 直也
Paper
紙という素材の特性と変化を利用した根源的な美しさの追求
技法・素材:紙
H4000×W200×D1300mm(1点)、H1800×W700×D900mm(1点)、H400×W900×D900mm(4点)、H3000×W900×D500mm(1点)、H3000×W900×D300mm(1点)
私たちは今一度、紙という素材の本質を見つめ直す必要がある。
紙の持つポテンシャルは、まだまだ計り知れない。現時点では、紙というものの認識が少しずつ変わってきているように感じる。それは、世の中に紙を使ったデザインが普及しつつあるからだ。その背景には、環境問題という大きな原因があるように思う。紙の価値が再認識される今だからこそ、この作品では、潜在的な紙の美しさや、動き、質感など、根底からの素材の研究にアプローチし、新しい紙の特性や変化を見つけ出していく。その特性や変化を軸に紙ならではのプロダクトの可能性を感じ、紙という素材の価値の再認識をしてもらうことが最終的な目的である。
担当教員によるコメント
彼は紙とひたすら向き合い、徹底的に調べた。それは机上の調査ではなく、実験によるものだ。折る、曲げる、切るといった一般的なものから、巻く、束ねる、固める、伸ばすといった思いつく限りの加工、更にそれぞれ同士の組み合わせを一つ一つ試し、システマチックに記録した。まるで昆虫標本を作るように。ついには、粉になるまで粉砕して感触を調べたりして、加工された素材を超え、それを構成する分子レベルまで近づこうとした。そこで彼が見えた、紙の持つ潜在的な美しさのいくつかを抽出し、再構成したのがこの作品だ。だからこそ、作品のちょっとした表情や動き質感にはっと驚き、圧倒的な規模に心揺さぶられる。
教授・米山 貴久、非常勤講師・米田 充彦