ピクセルへの並々ならぬ興味を持ち、その可能性を追求してきた高橋朋央さんが、卒業制作として制作した作品は、小学生6年間で学ぶ教育漢字1,026字を素材にした映像物語になりました。インベーダーゲーム、テトリス、ブロック崩しなどの古典的ゲームの世界を舞台に、各学年で学ぶ漢字をものにしていく様子が淡々と、しかしドラマチックに描かれます。文字を素材にしながらも、小学校を卒業するまでの6年間を物語として表現したこの作品は、自分の興味関心を中心に据えた上で、〈なにを〉と〈いかに〉を高いレベルで融合させていること、そしてなにより見るものを感動させるコミュニケーションを実現している点で、卒業制作にふさわしい可能性に満ちた作品になっています。

准教授・佐賀 一郎