卒業制作優秀作品集2019
情報デザイン学科

油原 和記

MOWB

映像インスタレーション(13分43秒)
技法・素材:HTC VIVE/スクリーン/プロジェクター
サイズ:H2500× W3000×D3000mm

担当教員によるコメント

VRと手書きアニメーションを組み合わせた先駆的な体験型エクスパンデット・アニメーション作品。作品の世界観とテーマが独創性だ。母の子宮に内包されていた胎児が産み落とされて、互いが外在の対象となる「母の誕生」から物語は始まる。自分の胎内に広がっている無の宇宙空間に迷い込んで迷子になった子供を探すため、母親が自らの胎内に没入するエピソードなど、「母と娘の繋がり」が幾重にも表されていく。やがて娘は成長して「合わせ鏡の自分である母の喪失」が訪れる。物語の終りで、再び母が誕生する。生命を受け継いできた幾つもの死んだ月が沈んでいる潮の彼方に、新たなる月が登っていく。だれもいない涅槃で、生命の連鎖が暗示されるのだ。輪廻転生が繰り返されるように、胎内の神話が再び始る。キャラクターの吐息と息遣いがVR世界に入った観客に臨場感を与える。喃語や笑い声が心地よく、うめき声が切ない。体の内と外と、心の中と心の外ー混沌としていて捉えどころがない入れ子構造の中でしか、確かめようがない人間の存在について、この作品は語ろうとする。「母なるサンクチュアリ」が、VR空間の中に広がっている。太古から受け継がれてきた子宮回帰の儀礼のような神話体験が、現代の革新的なメディアと結合している。

准教授・佐々木 成明

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