Chen Haoの作品「Ark」は、彼が２年間にわたり、檻の中に住む動物達をChen Hao独特の視線によって撮り続けた作品群だ。頭初、動物達を静かにじっと見つめる穏やかな彼の視線は、次第に、不思議な感覚を帯び、まるで檻が無いかのように彼と撮られる動物達の間にカメラを挟んで交信がなされている。動物達が語りかけてくる、なぜ自分はここにいるのか、そしていつまで。そんなことをChen Haoのカメラに語りかけようとしている気がしてならない。檻というこれ以上近づきようもない境界を挟み、彼が動物達に語りかけることでそれを乗り越え、もの言わぬ動物達の呟きまでが聞こえそうな、いわゆる動物写真を遥かに超えた稀有な写真群が生まれた。

教授・上田 義彦