大きく口を空けた怪獣の造形物は、鈴木がかつて青森で学んだ“ねぶた”の燈籠の技法で作られている。闇の中で点灯されると、この怪獣の美しさは見事だ。その前で、オレンジを基調とし、楽器を忍ばせた愉快な衣装をまとった２人が踊り狂う。悶々としている自分たちのパワーの放出が、この「モンモン」のコンセプトだという。審査会において、鈴木のコミカルな動きと高橋の存在感あるパフォーマンスは、その場にいる全ての人間を「ムンムン」した熱気のただ中へと連れ出してくれた。下北沢での卒業制作展本番では、この怪獣は駅前の広場に出現しパフォーマンスが行われた。

准教授・石田 尚志