手描きの細い線描によって丁寧に描かれた短編アニメーション。夜を無くなってしまった街の不思議な物語だ。登場人物たちのデザインや、物語の要となる光と闇の表現が魅力的である。アニメーションのゆったりとした動きに対し、早いカットのつなぎと淡々と進行するナレーションが、独特な時間の流れを創出している。今後、アニメーション作家として作品を作り続けようという覚悟のようなものを、映像を貫く静かな緊張感から感じる。

准教授・石田 尚志