卒業制作優秀作品集2023
絵画学科油画専攻
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- 西岡 紀子
たくさんの出来事が同時に起きている
素材・技法:ミクストメディア
サイズ:可変
担当教員によるコメント
オンラインで始まった2020年の新学期、西岡紀子は徳島の実家から講評会に参加していた。ズーム越しに、家の仏壇や飼い犬といった「超」身近な題材を描いた絵画が映し出されるのだが、その中には、大学から届いた給付金(現ナマ)を手づかみしているところを描いた絵があった。これを描くか!?絵画において大事なのはうまく描くことではなく何を描くかであると常々思ってはいたが、描きたいものを描くという原点を私はそこに見た。西岡は描くサブジェクトに沈思することなく、運動前に膝の曲げ伸ばしをするように絵を描く。そういえば「スポーツ」の語源は、あるところから別の場所に運ぶ、移す、楽しむ遊ぶ、というものであったと記憶しているが、西岡にとって絵を描くということは、まさに前に進むために必要な運動なのである。
教授・吉澤 美香
作者によるコメント
絵を描くことは、私にとって
・大きく振れた心を0に戻す作業
・日記、記録
・自分の存在意義見出すこと
・楽しいからする遊び
・自分と他人との距離感を探る事
・現実逃避
・心の声を聞く訓練
・将来への投資
・自分を見直す修行
・講評会や展示のための目的
などの意味がある。
生きていれば毎秒毎分何らかの思いがあって、身の回りには何かが起きて、それは素早く移り変わる。それを一つずつ作品に起こせば、自然とたくさん作品ができる。
例えば、アトリエで絵を描いていたら外から鳥の声が聞こえた。それを、自分と絡めて作品にする。外の現象を自分と絡めて作品にすることで、世界には自分だけではない。自分以外の人や物が確かにあることを思い出す。私はあまり外に出ないから、つい世界の人口は100人くらいの顔見知りしかいないように感じるけど、実際にはもっと人や物や出来事は存在しているらしくて、それが面白い。わたしが知らない人たちによって物によって起きる出来事が確かにあることが信じられなくて面白い。