卒業制作優秀作品集2023
工芸学科

宮内 萌音

膜_membrane

技法・ガラス、銀線、ニクロム線
サイズ:H450×W450×D450mm

作者によるコメント

本作は、自らが膨らむ時に生じるエネルギーや時間、そして膨らむ時の軌跡を「膜」という目に見える構造としてガラス自身に表現させたものである。
膨らませる前に縛った針金はガラスが膨らむことを妨げるが、それでもガラスは外へ大きく膨らもうとする。その膨らむ力によって生まれたのがこの「膜」である。
この「膜」はガラスが膨らむときのエネルギーが直接生み出した形態である。ガラスのエネルギーや成長する過程を私がガラスという素材を用いて造形するのではなく、あくまでも膨らむ力によってガラス自身が直接その構造を作っている。
そしてその膜構造は目には見えない、ガラスが膨らむ時の力を可視化したものであると同時に、ガラスが膨らんで大きくなっていくときの過程、軌跡や時間を可視化したものだとも言える。
二つの見えないものをこの「膜」は表現している。

担当教員によるコメント

宮内は「ガラスが起こす現象や構造の面白さを拾いそれをより良く魅せられる形にしようという思いで制作している」という。今作に繋がる過程で着目した「膜」は、ガラスが膨らむことを妨げる枷としての針金を予め仕掛けておくことで、息を吹き込んで膨らませる際にその針金部分が取り残されて形成されるものである。熱く柔らかい状態のガラスを扱う吹きガラスでは、手で直接触ることは出来ず道具を介して扱うこととなり、ましてや膨らませていくガラスの内部で起こるコトには文字通り「手が出せない」。宮内は「ガラス自身に表現させた」と定義しているが、この手法を成立させるためには幾多の試行と検証の積み上げが不可欠である。必然とその時々の可能性の揺らぎの間で生まれるフォルムには確固たる造形の説得力が宿っている。

教授・馬越 寿

  • prev
  • next
  • 壹岐 幸人
  • CHEW Ziyang Hans
  • 今関 華
  • 栗原 智美
  • 宮内 萌音
  • 新井 陽太
  • 稲垣 怜奈
  • 上原田 梓
  • 坂口 美月
  • 相原 光都子
  • 末武 花野
  • 新田 まりあ

学科TOPへ