卒業制作優秀作品集2022
絵画学科日本画専攻

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A

阿部 令佳

断章 | Fragment

A.

技法・素材:岩絵具、シルクスクリーン、雲肌麻紙
サイズ:H910×W910mm

B.

技法・素材:インクジェットプリント、洋紙
サイズ:H182×W257mm

深く刻まれている断片的な記憶や、必ずしも一直線に繋がらない事柄について、繋がらないままに、書き留めてきたノートから呼応する言葉を抜粋し、文章群 “fragments” として編集/再構成した。画面上においては、母語と少しの外国語は最終的に、痕跡のようなものとして残った。

帰れる居場所を欠く私にとって、起源の不在は長らくの主題であった。しかし、見つめつづけた空の画面=虚空 akasaの先に、現前する〈有〉それ自身の〈無〉の中に生起する未確定な領域の存在を感じている。

担当教員によるコメント

この作品が何を伝えようとしているのかその真意はおそらく自分には正確にわかっていませんが、この作品を前にすると立ち止まり考えてしまう『何か』を感じています。
本人が言うところのアーカーシャの解釈や『起源の不在』と言った個人的な主題を含め私が受け取る以上の意味合いで『何か』を本人は作品にしているように思います。
東洋と西洋の思考を行き来して、『無』を画面にした途端『有』になってしまうジレンマの中、出来上がるものが何を表すのか。
言葉を含めた現代の制度設計の中で常識を相対化してその在り方を問い直すような作業には相当な覚悟と忍耐が必要だと思います。
言葉の意味と音、そのあわいの痕跡や文章群が画面に再構成されていくのと同時に画材である岩絵具の粒子も重なりながらそれ自身の意味や方向を失っていくように全てがフラットに、基準面がないように、けれど力強く画面に定着しています。
当たり前な言葉が意味を失い、阿部さんの表す『言葉』のようなものになった時、それが一体何を語り始めるのか、正確に見極めたいと思っています。

教授・加藤 良造

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