小菅克也は、ことわざをテーマとした10点の「ことわざイラストレーションポスター」と作品集を制作した。画材はモノクロームで、鉛筆で細密に描いた。色を使わなかったので、よりミステリアスな世界観が出たように思う。ことわざは長い時間を経て生き残ったため、ことわざ自体が深い味わいを持っている。そのため、適当な取り組みではすぐ安易さが見えてきて、魅力が半減してしまうのが一般的だ。小菅克也の場合は、ありふれた題材を選んでいる。「豚に真珠」「猿も木から落ちる」「同じ穴の狢」など、誰もがわかることわざだが、緻密に描かれた描写がより一層味わいを作っている。作品「豚の真珠」でわかるように、推敲を繰り返しデッサンしているところがその秘密だ。

教授・秋山 孝