三つのポリシー

多摩美術大学は、大学の理念の下に三つのポリシー(卒業認定・学位授与の方針、教育課程編成・実施の方針、入学者受入れの方針)を一体的に策定し、それらに基づく体系的で組織的な大学教育を実施することにより、学生の学修成果を向上させ、学位授与にふさわしい人材を育成し、社会へと送り出します。

  • 美術学部
  • 大学院美術研究科
  • 卒業認定・学位授与の方針
    (ディプロマ・ポリシー)

    多摩美術大学は、大学の理念として、「自由と意力」を掲げています。

    「自由」とは、新たな芸術表現を創造していくための、何事にも妨げられることのない、自律的な想像力を意味します。
    「意力」とは、独自性を持った表現世界を築き上げる意志力であり、それを継続していくための強い力を意味します。

    表現の自由と自律、意志の持続と継承は表裏一体のものであり、両者を学ぶためには芸術の持つ専門性と総合性を理解し、実践していくことが、なによりも必要とされます。芸術は、さまざまな学問の基礎となり、生活に豊かさを与え、社会に新たな価値を創り出し、真の文化を創造します。

    多摩美術大学は、大学の理念にもとづき、多様化し複雑化する現代社会のなかで、芸術に立脚し、能動的に未来を切り拓いていくことのできる人材を養成することを、その使命であると考えています。

    そのために、芸術を、技術と理論の双方から段階を追って専門的に深め、なおかつ、さまざまな分野を横断的に総合していく創造的な教育課程(カリキュラム)を柔軟かつ有機的に編成し、「観察する力と思考する力」「構想する力と実行する力」「創造する力と表現する力」を身につけられた学生に、学士(芸術)の学位を授与します。


    教育課程編成・実施の方針
    (カリキュラム・ポリシー)

    多摩美術大学の学士課程は、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)で示した目標を学生たちが達成できるように、以下の方針にもとづき、教育課程(カリキュラム)を編成します。

    すべての学生は、それぞれの専門に分かれた学科および専攻のいずれかに入学し、リベラルアーツセンターが開講する共通教育科目、各学科および各専攻が開講する専門学科科目を学ばなければなりません。

    共通教育科目とは、リベラルアーツセンターが提供する授業科目です。教養教育(リベラル・アーツ)の理念にもとづいて横断的に編成されたカリキュラムのもと、すべての学生を対象とし、学生自らが主体的に学修計画を立て、4年間という学士課程全体のなかで、それぞれの設定した目標を達成できるように配置されています。

    専門学科科目は、各学科および各専攻が提供する、実技または専門領域に関係した授業科目です。基礎的な知識と技能を身につけ、応用できるようになるために、1年次の導入教育から、段階的かつ体系的に編成されたカリキュラムのもと、学年ごとに必修科目、選択必修科目が設けられ、その他に選択科目が配置されています。履修年次を指定することで、よりきめ細やかな指導を行います。

    多摩美術大学では、導入教育を経た1年次と2年次を基礎教育の期間、3年次と4年次を応用教育の期間とし、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)で身につけるべき目標とした三つの能力を、上記の教育課程(カリキュラム)にもとづき、具体的に実現することができた者に評価を与えます。

    学修の成果を評価するにあたっては、あらかじめ明示した成績評価基準にもとづき、厳格な成績評価を行います。さらには、その結果を活用して、教育方法の改善につなげていきます。


    入学者受入れの方針
    (アドミッション・ポリシー)

    人間が持つ創造性とは、未来を切り拓いていく力です。さまざまな表現のかたち、さまざまな生活のかたち、さまざまな社会のかたちを創造していく力です。

    多摩美術大学は、大学の理念である「自由と意力」に共鳴し、自らの持つ創造性を、芸術を通して実現していこうと考えてくださる皆さんを、世界から幅広く、積極的に受け入れていきたいと考えています。
    芸術に関心を持ち、芸術を志す人であればどなたでも、歓迎します。人間にとっての創造性とは、誰もが持ち、誰もが伸ばしていける力であると信じているからです。そうした皆さんとともに、人間の持つ未知なる力を開拓し、開花させていきたいと願っています。

    多摩美術大学が育んでいきたいのは、なによりも、皆さんが潜在的に持っている表現者としての可能性です。それらは、三つの項目に集約されます。
    「観察する力と思考する力」、「構想する力と実行する力」、「創造する力と表現する力」。
    より具体的に述べれば、自らを批判的に反省し主体的かつ積極的な行動がとれること、公共性と協調性を学び責任感を持って課された仕事をやり遂げられること、異なった文化、他者とのコミュニケーションを学び、未来を創出できることです。

    多摩美術大学は、皆さんが持つ表現者としての可能性をともに考え、その実現に協力し、強く支援することを約束します。
    高等学校の教育課程を学んだ人、もしくはそれに準ずる資格を持った人であれば誰もが、多摩美術大学の入学試験を受験することができます。試験では、与えられた課題を解決するだけではなく、そこから新たな主題を発見できるかどうかを、多様な試験の方法を用いて評価します。その柱となるのは、基礎的なコミュニケーション力、創造的な表現力です。現在持っている表現の能力を計るものだけではなく、未来にひらかれた未知なる表現の可能性を求めます。


    美術学部 各学科の三つのポリシー

  • 卒業認定・学位授与の方針
    (ディプロマ・ポリシー)

    多摩美術大学は、大学の理念として、「自由と意力」を掲げています。

    大学院美術研究科博士前期課程(修士課程)

    博士前期課程(修士課程)では、独自性を持った表現世界を築き上げるための強い意志と持続の力である「意力」を、何事にも妨げられることなく「自由」に探求し、さまざまなことに挑戦していける場を提供したいと考えています。
    学士課程で培われた自らがもつ技術と理論に時間をかけて向き合い、深め、社会に問うていくための力を養います。同時に、外部からの創造的な刺激を積極的に受け入れ、伝統と革新が共生する新たな表現空間、物理的かつ精神的な創造のためのスペースを提供し、芸術の創作者、研究者、さらには芸術の革新者(イノベーター)を育成することをその使命としています。

    そのために、博士前期課程(修士課程)では、まずは自身が専門とする領域で「観察力と思考力」、「構想力と実行力」、「想像力と表現力」を身につけた上で自立し、その成果を広く社会に向けて発信することができた学生に、修士(芸術)の学位を授与します。

    大学院美術研究科博士後期課程

    博士後期課程では、国際的な水準にかなう表現、研究、指導の方法を教授いたします。国際的な水準とは、自らが拠って立つ固有性を深めることで、世界への真の通路をひらくことを意味しています。思考の強度を高め、専門領域を大胆に横断し、そこに新たな価値を創出し、社会を刷新し牽引していくための理論を確立することを目指しています。芸術の領域横断的な先導者、指導者、すなわち世界に通用する芸術の創作者、研究者、批評家、起業家などを養成することをその使命としています。

    そのために、博士後期課程では、自らが専門とする領域が課す諸能力を身につけるだけでなく、芸術の諸分野を積極的に横断し、そこに創造的な総合を成し遂げることができた学生、国際的な水準で表現、研究、指導する能力を身につけることができた学生に、博士(芸術)の学位を授与します。


    教育課程編成・実施の方針
    (カリキュラム・ポリシー)

    大学院美術研究科博士前期課程(修士課程)

    多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程(修士課程)は、美術研究科のもとで各専攻に分かれ、それぞれ自らが創作者、研究者として拠って立つべき専門領域を、芸術の創作においても芸術の理論においても、指導する教員からより深く学ぶことを目的としてカリキュラムが編成されています。
    博士前期課程(修士課程)に入学した大学院生は、各専門領域における専門科目を担当教員とのマンツーマンの指導体制のもとで学び、研究科が提供する幅広い共通選択科目のなかから自らの関心に応じて科目を選択していきます。世界に発信し得る修士論文・作品等の提出が求められます。

    大学院美術研究科博士後期課程

    多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程では、芸術の創作者、研究者、さらには芸術の革新者として自立しているのみならず、新たな時代の表現と価値を創造し、世界的なスケールで先導的かつ指導的な役割を果たすことができるような、横断的で調和的な総合教育を行っています。

    博士後期課程は、美術専攻からのみなります。専門領域を横断、総合していく創作と理論を確立し、芸術における「技術」と「思想」の調和を目的としてカリキュラムが編成されています。
    博士後期課程の大学院生は、論文の指導を研究科が指定する論文指導教員から学び、実技の指導を各研究領域に所属する教員から学びます。時代を画し、国際的な水準にかなった、新たな芸術表現の可能性をひらいていく博士論文・作品等の提出が求められます。

    学修の成果を評価するにあたっては、あらかじめ明示した成績評価基準にもとづき、厳格な成績評価を行います。さらには、その結果を活用して、教育方法の改善につなげていきます。


    入学者受入れの方針
    (アドミッション・ポリシー)

    芸術は、人類をこれまで育んできた根源的な力であると同時に、未来を切り拓いていく未知なる可能性を秘めた力でもあります。
    多摩美術大学は、芸術のもつ伝統を創り上げてきた力を尊重するとともに、芸術を未知なる未来に向けて変貌させていく力を応援いたします。芸術の伝統と芸術の革新を、創造的に総合していきます。
    芸術は、今後ますます多くの分野(医療、情報、産業、企業経営、宇宙開発、人工知能等々)と深い関わりをもち、その交点で重要な役割を果たしていくと考えられます。芸術はさまざまな分野を創造的に結び合わせていく力をもっています。アートとデザイン、技術と理論を大胆に横断し、さまざまな表現の分野を新たな次元で総合することで、芸術が刷新(イノベーション)されていきます。

    大学院美術研究科博士前期課程(修士課程)

    多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程(修士課程)は、そのような状況に柔軟に対応し、自身がもつ技術と理論と向き合い、時間をかけて深めていくとともに、外部の高度な知識と技術を積極的に取り入れ、芸術の新たな価値を創出していきます。自らの芸術表現を完成していくとともに、それを広く世界に開いていきます。

    博士前期課程(修士課程)が求めているのは、芸術の創作者、研究者として自立し、なおかつその成果を広く社会に発信していくことができる人材です。
    世界のさまざまな地域、さまざまな表現の分野から芸術を活性化し、芸術という概念を刷新してくれる皆さんを歓迎いたします。
    そのため、博士前期課程(修士課程)の入学試験では、ジャンルを問わず、自立した芸術の創作者、研究者として活動する皆さんが、その表現や研究をさらに磨き上げ、幅広く深めていくための観察力と思考力、構想力と実行力、想像力と表現力における独創性をもっているかどうかが問われます。
    大学を卒業した人、もしくはそれに準ずる資格を持った人であれば受験することが可能です。

    大学院美術研究科博士後期課程

    多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程が求めているのは、芸術の創作者、研究者として自立しているのみならず、芸術の未来、芸術のもつ未知なる可能性を切り拓き、そこに新たな価値を創出することができる、芸術の世界的な先導者、指導者となるべき人材です。
    そのため、博士後期課程の入学試験では、専門領域の表現者として諸能力を発揮できるだけでなく、新たな表現分野そのものを創り出していくことができるかどうか、国際的な水準で表現、研究、指導していくことができるかどうかが問われます。価値を創出するだけでなく、その価値を後代に伝えていくこと、つまりは教育のための創造的な能力を持っているかどうかも求められます。その成果は、時代を画する世界的な作品、書物等として広く社会に提示され、還元されなくてはなりません。
    博士前期課程(修士課程)を修了した人、もしくはそれに準ずる資格を持った人であれば受験することが可能です。


    大学院美術研究科 各専攻の三つのポリシー