TAMABI NEWS 82号(アニメ-ションの可能性特集)|多摩美術大学
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11昨年の芸術祭では、おばけの遊園地をモチーフにした作品『GIFおばけランド』を発表。ゲーム業界志望者に人気の高い授業 『3Dアニメーション』などを開講 情報デザイン学科メディア芸術コースでは、2年次にアニメーション制作に関する選択演習科目として『3Dアニメーション』、『シナリオ・デザイン』、『ジェネラティブ・アニメーション』の授業を設けています。そこで、メディア芸術コースにおけるアニメーションの学びについて、原田大三郎教授にお話を伺いました。「情報デザイン学科では、2年次からイラストレーション領域の中の一つの位置付けとして、全ての学生がアニメーション制作を学びます。ほとんどの学生が初めてアニメーションを作る機会を得るわけですが、そこでアニメーションの面白さを知ったり、意外と自分に向いているんじゃないかと気付く学生もいるのではないかと思います。最近はゲームメーカーへの就職を希望する学生が増えていますが、そんな学生にとっても習得しておくべき技術や考え方が授業のこれまで「タマグラアニメーション」を経て、多くの優れたアニメーション作家や映像クリエイターたちが世に出ています。公式サイトには2012年から毎年選抜者作品が公開されており、作品に感銘を受けて多摩美を目指す人もいます。右で作品を紹介している金子さんは早稲田大学創造理工学部出身。シュウさんは中国の大学で映像制作を学んだ後、多摩美への留学を果たしました。の学生7名が所属。それぞれの部員が得意とする実写や手書きアニメ、3DCGなどの技法を用いながらGIFアニメーションを作り、その制作を通して部員間の活発な交流が行われているとか。また、部員から希望を募って、コマ撮りアニメ体験、シネマグラフ体験を行うなど、学科を超えてアニメーションを学び、表現の可能性を広げる場となっています。学生たちの名作を収録したDVD野村教授によってセレクトされた2011年4月から2018年3月までの7年間の秀作を収録した『The BeginnerʼsGuide』と、同期間の作品の中から強烈な個性を有する優秀作品を収録した『The Cutting Edge』。共に非売品。中に含まれていると思います」 原田教授が担当する『3Dアニメーション』の授業は、その名称通り、3DCGの基礎を学ぶためのものです。「ある課題を通して、Cinema4Dという汎用性の高い3DCGソフトの使い方を学ぶことが基本となります。メディア芸術コースの学びにおける基礎の一つ、身に付けておくべきスキルの一つですね。特にゲームメーカーにおいては3DCGソフトを使えることが大きなメリットになりますので、必須と言っていいでしょうね。そして、課題を完成させるまでが2年次での学びとなります。ただし、技術はあくまでも技術に過ぎません。専門学校ではなく美大で学ぶのですから、最終的な表現として自分が作りたいものは何か、伝えたいことは何かを考えてほしいですし、学生たちの自由な発想を大切にしながら指導しています。社会に出たら大変な毎日が待っているのですから、せめて大学にいる間はのびのびと過ごしてほしいですね」情報デザイン学科原田大三郎 教授作品の発表だけではなく、 部員たちのスキルアップも目的に『GIF部』は、Twitterの公式アカウントをプラットフォームとして、部員が制作したGIFアニメを学内外で発表しているほか、学内にてGIF制作ワークショップを開催するなどの活動をしています。現在、部長の江原里奈さん(メディア芸術3年)、副部長の高野黎さん(油画3年)を中心に、情報デザイン、テキスタイルデザインなどさまざまな学科早稲田大学創造理工学部を卒業後、 多摩美でアニメーションを学ぶ学生も実写や手書きアニメ、3DCGなどの技法で制作したりGIFアニメの制作ワークショップを開催「タマグラアニメーション」ンンとは、グラフィックデザイン学科(大学院含む)の学生たちが制作したアニメーション作品の略称です。すす多摩美の公式YouTubeチャンネルのほか、かか大学サイト内でも過去の作品を見ることができます。すす https://www.tamabi.ac.jp/tamagraanime/野村教授推薦作品『LOCOMOTOR』金子勲炬さん 大学院2年機関車を生命体に見立て、走り続けることの困難さをテーマに制作。筆と墨で1枚1枚丁寧に描かれた絵が暴力的な迫力を持って、観る者に無言のメッセージを伝える。アヌシー国際アニメーション映画祭2019にて上映。『星々/TwiTTnkletwinkle』シュシシウショウリンさん研究生中国の現代詩からインスパイアされ、紙やビニール、木材などの素材を用いて作品化した切り紙アニメーション。物語を紡ぐのではなく、登場人物の心情を感じ取れるように描いた映像詩的な作品。いくつかの国際アニメーションフェスティバルで入選。撮影=萩原楽太郎原田教授推薦作品「MOWB」 油原和記さん19年メディデデア芸術卒世界で初めてExpanded Animationとして全天球に2Dアニメーションを投影した作品。鑑賞者はヘッドマウントディスプレイを通してアニメーションを鑑賞することができる。第23回 JPPA AWARDS 2019学生の部 映像技術部門(カテゴリー:CG・アニメーション)にて最優秀賞を受賞。3DCGの基礎は身に付けておくべきスキルの一つ─メディア芸術コース学科を超えて活動を展開する学内同好会『GIF部(GIFアニメ研究会)』今も進化を続ける「タマグラアニメーション・シアター」の作品群

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