卒業制作優秀作品集2021
彫刻学科

辰巳 翔

B-boy万事塞翁が馬

技法・素材:欅、チェンソー、鑿、アクリル絵の具
サイズ:H210×W50×D40cm

僕はこの4年間、木彫で男性の人体を制作してきました。首像、胸像、全身像、それら全てを作るときに必ず一つの強い意思がありました。それは「上手な彫刻」よりも「面白い彫刻、自分らしい彫刻」を制作することです。作品を上手く整えるよりも、勢いに任せて作ってきました。「こんな彫刻じゃ木が泣いてるな」「ここはイケてるから木が喜んでるな」などを頭の中で考えたり悩んだりしながら手だけをひたすら動かしました。それが制作する上で正しいかどうかは分かりませんが、僕はそうやって制作してる自分が好きだし、なによりも楽しかったです。4年間お世話になりました。ありがとうございました。

担当教員によるコメント

コミックやストリートカルチャーに影響を受け、絵画的表現を彫刻に取り込む 方法を探りながら、「何かを睨みつけ、威嚇しながら佇む人」を作者は一貫して 木彫で制作してきた。 卒業制作で扱った欅の木は非常に硬い。チェーンソーでも皮を剥ぐ様な削り方 しかできず、それまで関わったきた木材よりも不自由が多かった様だが、辰巳く んはその不自由さの中で自然物の有機的変化を受入れ味方につけていった。 この木の根幹には腐食を伴った亀裂がある。 顔面から身体の内部に稲妻の様に走るヒビ、ヒビから腐食が生まれ、触れば崩 れてしまう様な脆さを内包した硬い欅の木がこの作品・この人物像の主題と重 なる。 作者が特有に持つ、鑿が縦横無尽に動き回り、形態を生み出し、モチーフの性 質を物語るという可能性を、今後も突き詰めて行って欲しい。

講師・中谷 ミチコ

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