卒業制作優秀作品集2021
彫刻学科

高柳 有里

Shalom

技法・素材:大理石、浮き彫り
サイズ:H62.5×W86×D30cm

Shalomとはヘブライ語で「こんには!」「やぁ!」といった英語の「Hello」のように挨拶で使われています。このShalomという言葉には平和という意味を持ち「あなたに平和がありますように」と訳され、平和の象徴の鳩が用いられたイラストや彫刻がShalomの文字と共に用いられることが多いです。この文化を知り、私ならこうゆう風に表現したいとイメージして制作しました。後ろから光が差すように光明を背景に表現し、リボンで束ねられた植物と花のリースで「尊重」の意味を持たせ、平和を表す鳩を前に持っていき、「平和を尊重しよう」の意味を込めて制作しました。

担当教員によるコメント

ルネサンスの画家ピエロ・デラ・フランチェスカの「キリストの洗礼」は宗教画の中でも、この画家ならではの幾何学への関心と具象的表現を見事に融合させ、教義の厳格性、清新性を鮮やかな色彩によって表現している。モチーフの「鳩」はキリスト教においては三位一体での精霊の象徴として、またノアの箱舟伝説においても平和の使者として、今では信仰者でなくとも広く人々に親しまれている存在である。作者はかねてより西洋的、とりわけロココ様式に関心を持ち、その装飾(歴史化)された窓枠から見える現在と対比させてきた。この大理石による作品は、あえてフレーム構造を避け、臆せずに真っ向から伝統性に従い、純白の鳩を中心に据えた。そして見るものに叫ぶ。「平和を尊重しよう」という意味を込め「Shalom」!と。

教授・水上 嘉久

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