チェ・セウォンは今年度針金による人体像を二体作った。はじめて見たのはオンラインの画面上で、部屋の中に下半身だけで立っている影のようなものがあった。つま先から作り始めて腰まで来たところだという。「このまま延長して頭まで作ります」と言うが、はたして全身できるだろうか？と思った。形をとるのも自立させるのもいかにも難しく思えたからである。結果的にチェは全身を作り上げ、次いで臥像を作った。二体はいずれも自宅で作られたもので、コロナ禍で見出された独自の方法と言っていいだろう。一作目の立像は、同じく抽象化されたゴームリーの人体と比べ圧倒的に儚く女性的で、また涅槃を思わせる二作目では、犬を配置したことで個人的な心の問題に迫ることに成功したと思う。

教授・高嶺 格