卒業制作優秀作品集2020
情報デザイン学科

伊東 星

解釈の楽譜

楽譜、映像
技法・素材:木材、紙、プロジェクター、スクリーン、iPad、Adobe Illustrator、Adobe After Effects、Processing、Unity、GarageBand、Studio One
音源:『月の光』 ドビュッシー
サイズ:
展示:H3150×W3500×D3500mm
楽譜:H3000×W360mm

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クラシックピアノは楽譜が全てです。計算され尽くしているからこそ、美しい旋律を奏でることができるのです。しかし、楽譜に書かれていない細かな演奏方法の違いによって曲の印象が変わることに気づきました。演奏者独自のゆらぎでアルゴリズミックな88個の音の組み合わせが無限に豊かになっていく。私にとってそれはなんともいえない魅力に感じました。この研究ではこのゆらぎである楽譜の範囲内における演奏方法の違いを“曲の解釈”と定義し、ドビュッシーの「月の光」を題材に、私の解釈に焦点を当てた独自の楽譜の制作を試みたものです。この作品は音源を楽曲制作ソフトで汎用的な楽譜を元に制作し、それをデータとして書き出し、プログラムで音のタイミングや長さを正確にマッピングして楽譜のベースを制作しました。そして、音の発生に一番関連する動きに着目し、動きの記譜を制作しました。それらを静止画とした図を楽譜のベースに載せた紙の楽譜、その楽譜の再現として映像、それを鑑賞者に伝えるための装置という複数の要素でできています。この曲を演奏したことがある人も、そうでない人も、私の抱いた音の印象の豊かさを少しでも感じていただければ幸いです。

担当教員によるコメント

楽譜は音を可視化したものではなく、音の手前にあるものである。録音装置がない時代に、作曲家が自作の曲を伝える方法は口伝か楽譜しかなかった。演奏家はその楽譜を読んで演奏した。しかし、演奏は再現ではない。楽譜に強弱の記号があったり、指揮者の棒に従いもするが、演奏家の解釈によって演奏はなされる。伊東はピアノを弾くとき、自分の解釈を譜面に書き込んでいた。伊東に限らず演奏者は皆そうするらしい。彼女はそういった演奏者の解釈を視覚化できないかと思い、新しい図形譜の仕組みを考えた。そして、それを映像化することで音との関係を示した。さらに手元で操作できるようにと、アプリケーションまでつくった。作品はその総体として仕上げられ、演奏者のための視覚言語となった。

教授・永原 康史

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