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祈りの生命デザイン 平成27年1月31日(土)〜平成27年2月22日(日)

ごあいさつ

―ファウナとフローラと人間の関係史をよみとく―
 人間は「大自然の命」を食べて、きょうも「生かされて」いる。そもそも人間という存在は、宇宙自然の生命体系の中では、まだまだ子どもで、魚の5億年、植物の10億年に比べたら、とても小さき存在なのだ。世界の諸民族のすばらしいデザインのひとつひとつには、先史時代から現代まで人間が出会ってきた「動物(ファウナ)」と「植物(フローラ)」の造形に満ちている。人々は現代人が忘れてしまった、この命の大先輩たちを、檻(おり)に入れて飼いならすのではなく、共に生きて命を恵んでくれてきた「神々」や「精霊」として敬い、折々の祭りや暦のうえで、心から感謝を表してきた。そして人間が大災害や疫病など深い危機におちいったとき、人々はそれらの「生きものたちの力」をもらい、祈り、難関を突破した。それはたとえばユーラシア世界にも日本列島にも伝わる「生命の樹」の思想であり、「鹿」や「熊」や「魚」を精霊として畏敬する信仰である。人間の「いとなみ」とは、かつてそうであり、いま私たちが向き合わねばならない「今を生き抜く」ための「祈りの生命デザイン」を創造することと言ってよい。この展覧会では多摩美術大学美術館に収集されてきた世界の動植物の造形、そして人間の祈りの場やフィギュアが集合し、現在の世界に問われている人間と自然の交流のありかたの原点をみせてくれる最高の機会である。「古くから知られていたものなのに、おおいに見逃されていたものを、新しいものとして発見することが、真に独創的なことなのだ。」このニーチェの言葉を大いなるしるしとして、この展覧会は、まことの生命の春を迎える歓びをもって、ここに幕をあける。

鶴岡真弓(多摩美術大学・教授 / 芸術人類学研究所・所長)

作品画像
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1.マリ・ドゴン族儀礼用人型鉄製品 AD 15世紀
2.ペルシャ・多彩鹿文鉢 AD 9世紀
3.コートジボワール・セヌフォー布絵 AD 20世紀
4.エジプト・コプト正教・エンジェルとアーカンサス図楯石 AD 5世紀
5.中国・漢代灰陶井戸 BC 2世紀〜AD 3世紀前半
6.メキシコ・トトナック土偶 AD 9世紀

関連イベント

■特別ギャラリートーク
 「祈りの生命デザイン ―生き物たちのカタチ―」

  • 日 程 2015年2月1日(日)
  • 時 間 14:00〜15:00
  • 講 師 鶴岡真弓氏
    (多摩美術大学・教授 / 芸術人類学研究所・所長)
 ※参加無料、但し入館料が必要です

■学芸員によるギャラリートーク

  • 日 程 〈古美術編〉
    ■日時:2015年2月8日(日)14時〜15時
    〈エスニックアート編〉
    ■日時:2015年2月15日(日)14時〜15時
  • 会 場 多摩美術大学美術館展示室

 ※参加無料、但し入館料が必要です

  • 主 催 多摩美術大学美術館
  • 共 催 多摩美術大学 芸術人類学研究所(IAA)
  • 休館日 火曜日
  • 入館料 一般 300円(200円) 大・高校生 200円(100円)
    ※障がい者および中学生以下無料
    ※( )内は20名以上の団体割引料金